集落や街は大きく分解すると、建築物が築かれている場所と、それ以外の場所(外部空間)に分けて視る事が出来る。ある意味で集落景観とは、建築物とそれ以外の場、つまり何も建築として築かれてない空地とのバランスを示した言葉とも言える。したがって美しい集落景観とか町並みとかは、それらの程良い調和との見方もできる。
景観の中心となる建築物は、建物の目的に合わせ建築主の夢や希望が投影されたものであり、それは当然その国や地域の自然環境、経済、文化的特性等を反映したものとして築かれている。いわゆるお国柄を色濃く伝える、特長のある建築物としてあるわけだが、外部空間となるとはたしてそこがどの様であったのか、まことに印象に薄く捕らえ所がない。
この場合、外部空間とは自然の残る未利用地、田畑、道路や広場、庭‥‥‥などであったりする。とりわけ庭は住居や建築と、切っても切れない外部空間としてある。特に今回取り上げた韓国の庭は、お隣の中国に影響を受けながらも、儒教精神を反映した独特の体裁をとっている。それは中国的でもなく、日本的でも、ヨーロッパ的でもない。
庭と言っても様々であるがその建築との関係から大別すると、概ね「中庭スタイル」と「外庭スタイル」に分けて見る事が出来そうだ。中庭スタイルですぐ思い出されるのが、イスラーム建築の中庭である。イスラームの中庭は何も飾らないシンプルなものから、例えばアルハンブラ宮殿のように、外部に見られない緑や、水を内部に取り入れた人口的な庭まである。
それらに共通しているのは徹底した外部への閉鎖性が上げられる。一方、外庭スタイルは建物の外側が庭となっている。つまり住居の前であったり、脇や後ろに空地や庭を残すのである。要は日本的な庭を思い浮かべれば良い。
中庭とその住居が、閉鎖的で求心的な構造を取れば、外庭スタイルを取る住居は、外部に対して開放的で放心的な構えを取っている。建築が庭としての自然へ思いきって開くわけだから、外庭型の地域は日本を始め、東南アジアや、ヨーロッパの自然が概して穏やかな地域に多い。
少し前置きがながくなってしまったが韓国の住居の庭は、あえて定めれば中庭型に近い。特に農村住居や伝統的住居等にこの中庭が見られる。