建築計画研究所 都市梱包工房

ARCHITECTURE DESIGN & CITY PLANNING OFFICE

 


 

 
第28話  中国水辺の集落.3
      路地状商店と橋詰め広場
 
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間口2m程の通りの両側にギッチリと商店が並ぶ。建物と建物が接して建ち一見閉鎖的な路地状商店通りである。通りを隔てた互いの屋根が接近し、今にもくっ付いてしまうような場所もある。通りに沿って出来たその細長い隙間から、蒼い空と穏やかな江南地方の雲がが見える。
 
天空より差し込む光は意外と強く通りは明るい。歩いているとあっちこっちから客引き、物売りの声がかかる。その声が狭い通りにこだまする。男の声、女の声、子供の声、高い声、低い声、ねばりのある声。いろいろな声が混じりあい、声の意味が分からない自分達には、まるで動物園の中を歩いているているようでもある。
 
狭い通りに無理やり商品を並べ売る者もいる。粗末な玩具から一見高価な骨董品の類いまで品は多様で、見ていても飽きない。中でも食べ物屋や、食堂等が並ぶ辺は凄まじく、「これぞ食の中国」と思わせるに十分な生きた食材が所狭しと置かれている。鳥、アヒル、に始まり、各種蛇、蛙、亀、スッポン、雷魚、鯰、田ウナギ、鯉、鮒・・・ザリガニ、タガメまで、水辺に生息する全ての生き物がここには並んでいるようである。姿格好も凄いが匂いも凄い。
 
食堂の裏手は運河だ。時々アヒルが通り亀が顔をだし、小魚が泳いだりしている。「これこそ産地直送の景観と言うのでしょうかね」案内人の李さんが言った。今まで誰も口にしなかった究極の言葉を聞き、皆食べる前から満足してしまった。
 
狭い通りを抜けると小さな広場に出た。広場の一端が大きな階段になっていた。まるで地面が隆起して建物を持ち上げているような階段である。水郷集落、周庄の中心地富安橋と橋詰広場だ。
 
一度見てみたいと思い続けた橋、本や写真で見た印象より少し小さく感じた。そう見えるのは橋の四隅の袂(橋詰め)に、寄り添うように建てられている建物のせいであろうか。

 

   

 

 

 


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