建築計画研究所 都市梱包工房

ARCHITECTURE DESIGN & CITY PLANNING OFFICE

 


 

 
第24話  アルティプラーノの集落.2
      土の塔を持つアンデスの村
 
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空が抜けるように蒼い。標高4000mの高原台地アルテプラーノ。鶯色の草原の先は,万年雪を頂上に抱く6000m級のアンデスの山々である。
 
4000mの高所では,急に身体を動かすとその度に頭痛や耳鳴りがする。それも慣れて来るとフラフラと,風に身体が揺れるような気分になって心地く感じてしまう。あっちでフラフラ,こっちでフラフラ調査隊は皆軽い高山病の中にあった。
 
インデイオ達の私達へ対する閉鎖的な対応は,ペルーの首都リマからずっと続いていて,彼等の住まいを訪れるなどはもう絶望的に思いていた。時と場合によっては私達が集落内に入る事さい拒まれてしまうのだった。
 
4~5日もこした状態が続いただろうか。インカの聖なる谷,ウルバンバ近くで,奇妙な形をした土の塔を持つ集落に出会った。
 
50棟程の住居が重なりながら,鴬色の草原の中にまるで土で出来た大小の積み木を並べたようにきっちりと築かれていた。各々の家は日干しレンガという共通の素材を用いて,しかも決まったように単純な切り妻の屋根の建築となっている。そのせいなのだろうか,見る方向によっては中央に一際目立つ塔を持つ,一群の建築体とも見えるから不思議だ。
 
高鳴る気持ちを沈め,集落に続く荒れ地のような小道を進んだ。村人達はすでに私達の訪れを察知したらしく壁の向こうから様子を伺っている。私達はそれらに気ずかない振りをして,半ば彼等の視線を無視して土の塔のある場所を目指して進むことにした。
 
ことわりも無く集落に入るのは気持ちのよいものではない。危険覚悟の突入みたいなものだった。私達のそうした心配は見事に外れ,村人の抗議を受ける訳でもなく思ったより簡単に,土壁の住居の通りを抜け土の塔の前に立てた。

 

   

 

 

 


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