建築計画研究所 都市梱包工房

ARCHITECTURE DESIGN & CITY PLANNING OFFICE

 


 

 
第21話  中米、メソアメリカの集落.3
      世界を支えるマヤの食物と染料

日本の農村や島の造りを思わせる懐かしい風景

1|2 


 

   
 
 

 
グアテマラ高地に在るアテトラン湖の中心の町ソロラで,私達は偶然インデオ達の大きな市に出会った。市に出されている品物の多様さも楽しいものだがそれにもまして,各々の部族が民族衣装を身に付け売り買いする姿は,まるで仮装して祭りを行っているような,美しく感動的な市の風景であった。
 
アテイトラン湖は,その裾に広がる熱帯雨林や,山地を貫く様々な河川の源流となっている。多くのインデイオ達が古くからこの流域や,湖畔沿いの森に住みプエブロ(集村の意味,)をつくっている。この湖の周囲だけでも言葉の異なる3つの部族が住み,それらのプエブロ(集村)が13もあるらしい。
アテイトラン湖は彼等にとって聖地のような所なだろう。私達はそれらの一つサンホルヘの村を訪れた。
 
村は湖に向かって傾斜する森の斜面地に築かれている。村のほぼ真ん中辺りが教会とその広場である。教会と言っても西洋のそれとは似ても似つかない形をしている。頭にドームをのせ,横の広がりが強調された力強い形だ。
土着化された教会。その様子は内部にも投影され,インデオ流のキリスト解釈が随所のイコンや,内装となって伺われた。
 
居住地へはこの広場から森に向けて数本の道が出ている。道は森の中ででさら数本の小道に分かれ,その小道に面して前庭を取り囲むように,住居が幾棟か築かれていた。
 
クラスター化した大家族の住居。分棟かした棟には各々の家族が住んでいる。訪れた家は家長を中心に,3家族の棟とそれらの納屋,倉庫等の棟からなっていた。前庭を囲む各住棟,切り妻屋根と軒の深い造り,そして白壁。背景の樹木等。この景観はかって何処かでみたような懐かしい風景に思えた。
 
あえて例えるなら日本の農村や島の集落の造りであろう。深い軒下で日射しを避けながら,若い娘さん達が熱心に織りものしている。織り機の一端を自分の腰に当て,他方を軒下の柱にくくり,棒切れを巧みに上下左右させ編んでいる。娘さん達の膝の上に,織られたばかりの幾何学模様の美しい緋色の布が載っていた。
 
この織り方は数千年前のマヤ時代から変わってないと言う。染料の原料となるサボテンがある限りコチニールが取れ,マヤの緋色も変わらないと言う事なのか。それとも遥かマヤの時代を今も思いつつけての事なのか。私達と同じ祖先をもつマヤ人。何れにしても,場所を越え,時を越えて思わぬ所で出会った懐かしい風景であり,今日の私達の生活を考えさせられる光景であった。
 

 

   

 

 

 


■LINK  ■SITE MAP  ■CONTACT
〒151-0053
東京都渋谷区代々木3-2-7-203
tel : 03-3374-7077
fax: 03-3374-7099
email: toshikon@eos.ocn.ne.jp