建築計画研究所 都市梱包工房

ARCHITECTURE DESIGN & CITY PLANNING OFFICE

 


 

 
第17話  カルパチア山脈の集落と民家.2
      校倉造りの住居、暮らしにみるスラグ人の心
 
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 ヨーロッパ北西部、スロバキア。ドナウ川の支流、バァーハ川に沿って北上する。
 うっそうと茂る森が川に沿って続く。時々、その暗い森が切れると、その森の間にやわらかな緑の牧草地が陽をあびて輝いて見える。そして、そのやわらかな緑の中に、教会の塔を抱いた集落が見える。
 ほとんどが十数戸の小さな集落であるが、周囲の牧草地や森に縁取られて、絵に描いたような集落景観を示してくれる。
 バァーハ川は美しい集落景観の宝庫だ。
 ヨーロッパ北西部、ポーランド、チェコ、スロバキアの歴史は、スラブ人とゲルマン人の民族移動の歴史でもある。そうした影響を深く受けながら、集落や民家は、今日に続いているのだ。
 ゲルマン人の多くは、家を築く方法として木の柱を立て、それに梁や小屋をかけた。柱の間は土で埋め、その上に漆喰などを塗ったという。一方、スラブ人は、丸太を横積みした校倉造り。今流にいうなら、ログハウス建築を好んで建てて暮らしていた。
 十九世紀頃まで、ヨーロッパ北西部の村や町の住居は、そのほとんどが校倉建築であったともいわれる。牧草地の中に、宝石のように秩序正しく白く輝いてみえる集落も、近づいて見ると、白壁の内側は校倉造りの家々であったりする。
 永い年月の間に校倉壁の間に生じた隙間を、少しずつ土や漆喰で押さえているうち、壁面が、いつの間にか木ではなく白壁で被い隠されてしまったのだ。
 遠望する集落に、家々には、そうした人々の苦労の歴史が塗り込められているから、こちら側の心を打ち、それが一層輝いて見えるのだろう。
 

 

   

 

 

 


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