建築計画研究所 都市梱包工房

ARCHITECTURE DESIGN & CITY PLANNING OFFICE

 


 

 
第14話  ネパール中央高地の集落.1
      雲上の集落と小さな土壁の住居
 
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 万年雪に蔽われたヒマラヤの山々、世界最高峰のエベレスト山などを背景にするネパールは、極寒の国のように思われているが、日本の東京などよりは、はるかに温暖な国といってよい。
 緯度で比較すると、奄美大島と同緯度だ。だから高度さえあまり高い所にいなければ、一年中が春のような国なのである。
 たとえば、標高一四〇〇メートル前後の、ネパールの首都カトマンズでは、冬期でも東京より八~九℃高く、雪が下りることはまれである。周囲を七~八〇〇〇メートル級の山に囲まれ、桃源郷のような都市なのだ。
 一九七〇年代、その桃源郷ならずネパールへ、世界中からヒッピーが集まったのも、一つにはそうした温暖でしのぎやすい気候が要因になっているのだろう。
 ネパールの集落探訪は、二度行っている。一度は、そのヒッピーがカトマンズ盆地に群れていた頃で、酷暑のインドから車で、山越の厳しい入国であった。日夜五〇度近い暑さの中で、身心が疲れ切ってしまっていた私たちにとって、ネパールの心地よい風や緑の山々は、桃源郷どころか、天国のように感じられた。二度目は、一昨年のチベットからのヒマラヤ越え。空路での入国であったが、チベットの四〇〇〇メートル近い高地で、常時酸欠状態に陥っていた身体は、ネパールの酸素を十分に含んだ空気をあびて、手足の先端まで潤を得た。空気がこんなに美味しいものとは知らなかった。一度ならず、二度までも自分たちの痛んだ身心は、ネパールの自然、気候、そして心優しい人々たちで癒される。
 こうした体験は私たちだけでなく、この国を訪れる多くの人々に共通してあるようだ。その結果、半年、一年、数年……一生涯と、この地を求める人が多いのもうなずける。
 ネパールが多民族国家になるのも、歴史的にみればそうした要因が強く影響しているのではないだろうか。とにかく多くの民族が、山や盆地に住んでいる。大別すると、山間に住む民族はチベット系が多く、盆地に住む人々にはインド系が多いといわれる。後日、それらの報告は行うとして、今回取り上げる集落は、山間の集落と民家である。
カトマンズ盆地から、チベットに通じる道路を東に向けて走る。途中の風景は、道路沿いにレンガ建ての民家と農地が混在して続く。
 

 

   

 

 

 


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