建築計画研究所 都市梱包工房

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第6話  南メソポタミヤ 湖上に浮かぶ一島一家の集落
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 世界の四大文明の一つ、チグリス・ユーフラテス河といえば、メソポタミア文化。そのメソポタミア(現在のイラク)とは古代ギリシャ人が、チグリス・ユーフラテス河沿い一帯の地域を指した言葉であるが、古来より多くの民族やその文化の盛衰があり、各所に謎を秘めた地域である。
 とくに近年になって、それまで神話の世界とも伝えられていた、バビロニア、シュメール文化等の遺跡が発見されるに至って、旧約聖書に記されている言葉や場(エデンの園、アダムとイブ、ノアの方舟……等)が、単に空想の場ではなく、実存した場として、急に現実味を帯びてきている。
 その多くが、チグリス・ユーフラテス下流の南メソポタミアの地域なのだ。両大河は、いずれもトルコの山岳地を源流とする。メソポタミア北部を数千キロ、平行して流れ、あの『千夜一夜物語』の都市バグダッドで最も接近して、豊かなオアシスの町を生み出していく。両大河が合流するのは、一〇〇〇キロほど南下したクルナの町。それより先、両大河は合流してアラブ河となってペルシャ湾に流れ出る。
 資料によると、バグダッドの海抜はわずか三〇メートルしかない。これは、両大河の合流地クルナまで一キロ当たりに換算して数センチの高度差しかないことを示している。つまり、チグリス・ユーフラテス河は、バグダッドから下流域、ペルシャ湾までの数千キロ、ほとんど平坦地を流れるのだ。この極端に平坦な地形が、メソポタミア南部に大洪水や氾濫をもたらすことになる。
 旧約聖書に記されている「ノアの方舟」の大洪水とはいかないまでも、それに近い氾濫は、今でもたびたびあるという。
 その南メソポタミア地域で、素晴らしい集落と住居を訪れた。バグダッドからユーフラテス河沿いに三日ほど南下すると、それまでの砂漠景観は一変して、葦や蒲の茂る湿原地帯になる。
 小石混じりの砂漠が突然のように、葦と湖沼の広大な湿原に変ってしまう。東京都が八つも入ってしまう大きさという。そこには、砂漠地帯の閉鎖性の強い住居とは似ても似つかない、葦や蒲を用いた半円筒型の奇妙な建物が、点在して建てられていた。
 比較的水かさの少ない湖沼の淵沿いに築かれているものもあれば、湖沼の上に築かれているものもある。いずれも住居の建つ位置は土を盛り上げ、湖面より高くし、一つの小さな島となっている。
 

 

   

 

 

 


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